中学生に寝取られた_2

熱さにうだった昼下がりの住宅街を、日傘で顔を覆った朱美が歩いていた。その周りには三人の少年が貼りついている。
 夫から引き離されてはや十分、朱美の不安は心臓が破裂するほど肥大していた。見知らぬ街で、見知らぬ少年たちに連れ回される恐怖。すれ違う善良そうな住人たちは、だれ一人として救いの手を差し伸べてくれないのだ。
「あ、そうだ」
 先頭を歩く邦夫が振り返った。
「あのさあ、奥さんを呼ぶとき、奥さんでいい? それとも名前で呼ぼうか? 朱美って」
「す、好きにすればいいわ」
「じゃあ、朱美。歳いくつ?」
「せ、先月で三十三よ」
「えっ! まじかよ? おれの母ちゃんも三十三だぜ! 世の中不公平だよな」
 そう嘆いてみせたのは長躯の康二だ。短躯の雄太も驚きを隠さない。
「三組の村田先生って二十六だっけ? 村田先生に楽勝だよね、朱美さんてさ」
「へえ、ズリネタ女教師・村田より七歳も年上なのか……。ま、村田はただ単にむちむちしてるだけだろ。その点朱美はさ、まろやかっていうか、ほんわかっていうか、なんか暑苦しくないていいよな」
「うん、清楚ってやつ? でも、意外とお尻でかくない? おっぱいは小さそうだけど」
 朱美の背筋に冷や汗が噴き出した。二十も歳の離れた少年たちに品評されることの屈辱は、恥ずかしさを通り越して怒りさえ感じる。
 ふと、長躯の康二が思い出したように、日傘の中を覗き込んできた。
「あ、とすると……職業はOL、セックスは週三回ってのはどうなんだ? あんた、OL?」
「ち、違うわよ……。しゅ、主婦よ」
「じゃあ、元OL?」
「ええ、まあ……」
「お、これで一敗一分けか。じゃあ、セックスは週何回?」
「な、なによ、急に……」
「だいたいの平均でいいからさ」
「そ、そんなこと聞かれたって……」
 朱美が口ごもると、先頭を行く邦夫が聞こえよがしに吐き捨てた。
「質問に答えるのも仕事のうちなんですけど」
「あ、でも……」
「あんたさあ、自分の立場わかってんの?」
「す、すみません……」
「謝る暇があったら、質問に答えろよ」
「あ、はい……」
 子供相手に敬語を使ってしまう自分が滑稽で、朱美は泣きたい気持ちになった。
「あ、あの、その、い……」
 康二が日傘の縁をくいっと持ち上げた。
「え? なに? はっきり言えよ」
「い、一、二回かと……」
「なーにが?」
「あ、その、一週間で……」
「なーにを?」
「あ、えっと……」
 朱美の耳たぶが真っ赤になる。
「だからさ、一週間に一、二回、なにをするの?」
「セ、セ……」
「せ?」
 邦夫と雄太も耳を寄せてきた。清楚な年上の女性にいやらしい言葉を言わせたくてうずうずしているのだ。それを察した朱美の心に小さな敵愾心が芽生えた。
(こ、この程度で尻込みしちゃだめ。これからもっと恥ずかしい目に遭うのよ。尻込みすればするだけ、この子たちを喜ばせるだけだわ)
 朱美は日傘の柄を握り締め、心持ち背筋を伸ばした。
「セ、セックスよ」
 その瞬間、少年たちはしてやったりとほくそ笑んだ。
「えー、三回じゃないのか? ほんとは三回なんだろ? 毎朝毎晩するやつだっているのに?」
「わ、わたしは違うわ」
「うそだろ? 正直にほんとのこと言えよ」
 少年たちの声がにわかに大きくなる。住民の人目を引かないよう、朱美は泣く泣く折れなければならなかった。
「そ、そうね。そういうことにしておくわ」
「よーし、これで一勝一敗一分けか。辛うじて予選通過だな」
「なんだよそれ。どこの予選だよ」
「へへっ、まあ、それはそうと、パレス・ユータにご到着だぜ」
 そこは三角屋根の一戸建だった。雄太が門扉をくぐり、玄関の錠を開けに走った。そして無邪気に手招く。
「はやくおいでよ。ぼくんちは共稼ぎなんだ。家にはだれもいないから心配ないよ」
「ほらほら、入った入った」
「きゃっ!」
 邦夫に腰を押された拍子に、朱美は悲鳴を上げてしまった。それなりの覚悟はしたつもりでも、赤の他人にいざ触られると体がすくんでしまう。邦夫は強引に腕を回してきた。
「ほら、こいよ」
「やっ! だめっ! は、離して!」
 あらがった勢いで日傘が宙を舞い、ハンドバッグは地面に転がった。
「こ、この! ガキじゃあるまいし、なに照れてんだよ! あんまり騒ぐと近所中のババァが集まってくるぞ!」
 邦夫は、朱美がひるんだ隙に力任せに抱き寄せ、有無を言わさず引きずった。二人の背丈はほぼ同じなので、互いの頬がくっついてしまう。
「んー、ぷにぷにだぜ。あとでキスさせてくれよな」
「やっ! だ、だめっ!」
 汗臭い少年と密着するおぞましさに、朱美は自分の立場も忘れて暴れ出した。駄々っ子のように手足をばたつかせ、身をよじる。手を焼いた邦夫は、朱美を突き飛ばした。
「やってらんねえな! こんなくそ女、放っておこうぜ!」
 邦夫は現金入りの封筒を惜しげもなく朱美に投げつけると、仲間たちを引き連れて玄関に入ってしまった。
「それは返しとく! 恐喝でパクられたくねえからな!」
「え? あの……」
「いまから一一〇番するんだよ!」
「あ! ま、待って!」
 朱美は閉ざされたドアにすがりついた。だが、ドアノブを掴んだ右手がどうしても動かない。ドアを開ける勇気が出ないのだ。朱美は目をつむり、歯を食いしばり、大きく息を吸った。
(開けるの! 開けるのよ! 開けなくちゃならないの!)
 そう念じれば念じるほど体が硬直する。朱美は一旦ドアから離れると、路上に散らかった封筒やバッグ、日傘を拾い集めながら気持ちを整えた。乱れた髪を直しつつ、再度ドアの前に立つ。
(パパ、美雪ちゃん。ママを守ってね……)
 震える指先がインターホンのボタンを押した。
「だれ?」
「あ、わたし……です」
「あれ、帰ったんじゃないの?」
「あ、あの、さっきはごめんなさい」
「なにしにきたんだよ。用がないなら帰れよ」
「な、中に入れて」
「やだね。また暴れるんだろ?」
「も、もう、暴れないわ。だから中に……」
「おとなしくするか? じゃなきゃ一一〇番だぞ?」
「ええ、おとなしくするわ」
「命令に服従できるか? すけべな命令ばかりだぞ?」
「え、ええ」
「ほんとか? ちょっとでも歯向かったらすぐ一一〇番だぞ?」
「わ、わかってるわ。だから一一〇番だけは……」
「よーし、それなら中に入ってこい。鍵は開いてる」
「は、はい」
 朱美は体の強ばりを振り切るようにドアを開けた。湿気を含んだ外気が朱美の体臭を乗せて屋内に流れ込む。
(美雪ちゃん、ママがんばるからね……)
 少年たちは横一列に並んでいた。小鼻をふくらませて、嗅覚と視覚で朱美を出迎える。外では化粧の匂いにまぎれていた汗や皮脂の臭いが、いまは手に取るようにわかるのだ。女家族と同質の臭いでも、朱美の清楚な容姿がそれを香しい匂いに変化させていた。
 仁王立ちの邦夫が勝者の笑みを浮かべた。
「セックス奴隷になる覚悟はできたか?」
 朱美は直裁過ぎる表現に青ざめた。だが、もう後には引けないのだ。夫のため、娘のため、奴隷だろうが家畜だろうが、どこまでも堕ちる覚悟だった。
「……は、はい」
「じゃあ、二階に上がれ。そこがセックス奴隷の仕置き部屋だ」
 少年たちが行く手を開けた。朱美を先に上がらせて、臀部や下肢を仰ぎ見ようという魂胆なのだろう。すでに嬲りは始まっているのだ。朱美は絞首台に向かう女囚の面持ちで階段を上り始めた。
「隠すなよ。隠したら後でひどいぞ」
「わ、わかってるわ……」
 案の定、下からの眺めは格別だった。膝上数センチのミセス用ワンピースから、素肌のようなストッキングに包まれた太腿が覗けている。体全体は華奢な印象だったが、やはり太腿の肉づきは熟れた人妻だ。その揺れ方はまるで搗き立ての餅を思わせる。
 それ以上に少年たちを刺激したのは、ゆさゆさ揺れる豊穣な臀部だった。いまにも落ちてきそうな重量感に圧倒されながらも、少年たちは引き込まれるように後をついてゆく。
「ババァにしてはきれいな脚してるな」
「へへっ、でけえけつ」
「右の部屋だよ」
「あ、はい」
 そこは東側に面した八畳ほどの洋室だった。漫画本の詰まった本棚、壁のインテリアになっているサッカーのユニフォーム、朱美の知らない家電品の数々──。子供然とした部屋だけに、ここで嬲り者になるのかと思うと悔しさもひとしおだ。
 少年たちは朱美を部屋の中央に立たせたまま、各々いすやベッドに腰かけた。部屋の主を差し置いていすにふんぞり返った邦夫が、エアコンのリモコンを朱美に突きつけて命じる。
「さあて、セックスの夏期講習、始めようぜ」
 エアコンが動き出し、まだ冷えていない送風が朱美の汗ばんだうなじをくすぐった。
「あれれ? さっきの誓い、もう忘れたのか?」
「あ、いえ……」
「じゃあ、さっさと始めろよ」
「あ、はい」
 返事はしたものの、手始めになにをすればいいのかわからない。これは明らかにレイプだ。だが、ただのレイプではない。目をつぶっていることは許されず、自ら進んで陵辱を乞わなければならないのだ。それは目眩いがしそうなほど難しい課題だった。
「こら、固まってんじゃねえよ。いつも旦那とやってることをおれたち相手にやるだけだろ?」
「あ、はい……」
「じゃあ、雄太。場所代ってことでおまえが先発だ」
「え! ぼ、ぼく? あ、後でいいよ。やり方わかんないし……」
「おいおい、だから朱美に教わるんだろ。おれたちも後で混ざるから心配すんな。ほらほら、時間がもったいないぞ」
「う、うん……」
 雄太は顔を真っ赤にして立ち上がった。陰毛が生えた生えないで大騒ぎする年頃だ。初体験を見物されるとあっては、死ぬほど恥ずかしいに決まっている。
 雄太はうつむいたまま、朱美と向き合った。雄太の方がおでこひとつ分小さく、母親と息子という感じがしないでもない。朱美の顔も赤く染まる。
「ゆ、雄太くん。さ、最初はシャワーから……」
「う、うん」
「あ、じゃあ、先にわたしが入ってくるわね。み、みんなはここで待ってて」
 待てと言われて素直に待つ邦夫ではなかった。すかさず横槍を入れてくる。
「見学も兼ねて、一緒に入ろうぜ」
「あ、でも……」
「ん? いま、でもって言ったか?」
「あ、いえ……。じゃあ、みんなで入りましょうか……」
 歯ぎしりするほど悔しいはずなのに、朱美はぎごちなくはにかんでいた。
 洗面所の鏡にサマージャケットを脱ぐ女が映っている。
 アイボリーの半袖ワンピースを着たショートカットの女だ。頬がふっくらした小作りの顔立ちは少女のようでもあるし、光線の具合によっては気だるさを秘めた淑女にも見える。
(ひどい顔ね。殺されるわけじゃないのに……)
 鏡に映る自分に話しかけたとき、朱美は鏡越しの視線に気がついた。血走った三対の目が背後で息をひそめている。ただ一人洗面所の中に入っている雄太はぽかんと口を開けていた。いよいよ女の裸が見れるという感激に、すっかりのぼせているのだ。
 朱美は少年たちの方に向き直ると、嘲り混じりの微笑を浮かべた。そんなに女の裸が見たいのならどうぞごらんなさい、との思いだった。朱美は後ろ手でファスナーを下ろしながら、最初の相手となる雄太を見据えた。
「ねえ、雄太くんはいつまでお母さんとお風呂に入っていたの?」
「え? えーっとね、四年生までかな……」
「そう。それじゃあ、おばさんをお母さんと思ってちょうだい。そうしたら恥ずかしくないでしょう?」
 その言葉はもちろん、自分を慰めるためでもある。
「う、うん……」
「じゃあ、一緒に脱ぎっこしようか。あ、ついでだから邦夫くんたちも脱いじゃって」
 朱美が精一杯の笑みを作った瞬間、邦夫が苛立ちげに引き戸を叩いた。
「おいおい、勘違いしてんじゃねえぞ」
「え?」
「母親ぶっておれたちをガキ扱いするな。おまえはおまんこ奴隷なんだぞ。わかってんのか?」
「あ、ごめんなさい……」
 おまんこ奴隷──。その言葉の響きだけで心臓が激しく脈打ち、額に脂汗がにじんだ。このままふっと気を失えたらどんなに楽だろう。
「朱美はおまんこ奴隷だよな?」
「あ、その……」
「違うのか?」
「あ、いえ、そう……です」
「じゃあ、おまんこ奴隷らしく振る舞えよ」
「……はい」
 朱美はワンピースの襟元を開いて、白い両肩を露にした。決意が鈍らないよう、一気に腰骨まで下げる。
「おぉ……」」
 ため息を漏らしたのは康二だ。朱美の胸元は白いブラジャーよりもはるかに白く、透明な輝きさえ帯びていた。うなじから肩にかけての線は少女のように華奢でいながら、胸元から腰のくびれにかけてはしっとりした色香がある。
 朱美は腰骨に引っかかっていたワンピースを押し下げ、もっとも巨大なパーツ──双臀を剥き出しにした。みっちり肉の詰まった臀部にパンティーストッキングと水色のショーツが張りついている。
「へぇ……」
 今度は邦夫が嘆息を上げた。雄太に至っては息が止まるほど驚嘆している。
 ワンピースはさらりと音を立てて舞い落ち、少年たちの眼前に量感たっぷりの太腿が露出した。三十三歳の女体は圧倒的な肉感だった。柔らかそうでいて崩れておらず、甘く優美な線を描いているのだ。
 少年たちはそのことの意味を瞬時に理解した。ひょんなことから手に入れたこの女は単なるきれいなおばさんなどではない。童貞喪失用には過ぎる、宝物に値する美女だったのだ。
 いちはやく我に返った邦夫が呻くように言った。
「な、なにやってんだ。全部脱ぐんだよ」
 朱美はさらなる恥辱へ飛び込もうと呼吸を整えていたが、美肉に目が眩んだ少年たちは片時も待ってはくれない。
「おい、さっさと脱げ。それとも一一〇番か?」
「ぼさっとすんな、朱美。娘がどうなってもいいのかよ?」
「そ、そうだよ。朱美さんがやらせてくれないなら、代わりに美雪ちゃんがおまんこ奴隷だからね」
(ちょ、ちょっと待ってよ!)
 娘の名前が引き金となり、朱美はブラジャーを引き千切らんばかりに剥ぎ取った。白い乳房が弾んだのも束の間、すかさずパンティストッキングごとショーツを剥き下ろす。丸まった薄布を足先から抜き取ると、一糸まとわぬ全裸になった。
(ほ、ほら! 脱いだわ! どう、これで満足?)
 少年たちの驚きをよそに、朱美は背筋を伸ばし、胸を張って純白の女体を惜しみなくさらけ出した。娘に手出し無用と口にするより、こうして体を張る方が得策に思えたのだ。
 だが、少年たちの血走った目はどんな刃物よりも鋭利だった。朱美が築き上げた矜持をずたずたに切り裂き、その奥にある羞恥をえぐり取ろうとする。朱美の太腿がよじれた。
(そ、そんなに見つめないでよ。わ、わたしはただのおばさんなの……)
「さ、三十過ぎにしちゃあ、けっこういい体してるじゃねえか」
 邦夫が上擦った声を上げた。精一杯強がってみても女の裸体を見るのはこれが初めてなのだ。怒っているのか笑っているのか、判別できないほど顔が歪んでいる。
 実際、朱美の裸身には少年たちを黙らせる迫力があった。透き通るような肌はしっとりと潤いを帯び、おばさんと呼べないほどに瑞々しい。張りを失っていない乳房はいわゆるお椀型だ。乳輪と乳首の色はやや濃いが、そこがまた人妻らしく、艶めかしい。
 一方、華奢な上半身を補うように下半身は見事に発達していた。腰のくびれが大きな臀部をことさら強調し、むっちり張った太腿をも引き立てている。陰毛は手入れが行き届いていないのか、まるで下腹部を燃やす炎のようだった。
 そしてなによりも、ビデオやグラビアでは絶対伝わることのない女体の熱や匂いがひしひしと感じられる。目の前の女は本物なのだ。美しい肉体を備えた大人の女が、目の前に存在している!
 三人の少年は身じろぎひとつしない。いや、できない。百パーセントを超える勃起が楔となり、彼らの動きを封じているのだ。
「お、おい。おれたちも脱ごうぜ」
 その状況を打破すべく、邦夫が率先してカーゴパンツに手をかけると、雄太たちも腰を引き気味に後に続いた。露出した三者三様の男根は、三本とも痛々しいほど反り返っている。
 面白いことに男根のサイズは身長に反比例していた。短躯の雄太が一番大きく、優に十三、四センチはあるだろう。包皮が完全に剥けているのも雄太一人で、亀頭が淡いピンク色をしていなければ成人男性のそれと見紛うばかりだ。
「お! いいの持ってんじゃん、雄太」
「えへへ、そうかなあ?」
「さては毎日オナニーしてるな?」
「そ、そんなことないよ。邦夫くんはどうなの? 毎日?」
「お、おれはそこそこだよ。康二、おまえは?」
「え、おれ? おれはその、普通だよ。普通……」
「なんだよ、普通ってのは」
「普通だから普通なんだよ」
 三人はじゃれ合うことで緊張をほぐしたのか、ぴんと立たせた男根を揺らし、朱美と対峙した。
「ぬ、脱いだぞ。次はなんだ?」
「あ、じゃあ、お風呂場でシャワーを……」
「洗いっこか?」
「え、その……」
「洗いっこなんだな?」
「あ、はい……」
「よし、雄太。おまえが最初だぞ」
「ぼ、ぼくは後でいいよ。見てるだけでいいから……」
「おまえなあ、何度も同じこと言わせんなよ。ほら、入った入った」
「う、うん」
「朱美、おまえもだ」
「え、ええ……」
 全裸だからこそ背筋を伸ばし、朱美は浴室に入った。洗い場の広さは約一畳。邦夫と康二が加わると、さながら満員電車の趣だ。邦夫は手を伸ばせば届く美肉に触れようとはせず、康二に目配せした。
「おい。おれたちはここで見学しようぜ」
「あ、ああ」
 二人は男根を揺らして空の浴槽を跨いだ。そこは半埋め込み式のため、肩を寄せ合って座ると朱美の腰部が目の高さにくる。邦夫の位置からは炎のような陰毛が見え、康二の眼前ではこぼれ落ちそうな臀部が汗ばんでいた。
 少年たちの視線に焼かれたのか、静脈の浮いた太腿が切なそうによじれる。近くで見れば見るほど、むっちり張った肉柱は匂い立つほどに肌理が細かい。
 邦夫は乳房越しに朱美の顔を見上げた。
「お、おい。突っ立ってないで始めろよ」
「あ、はい……」
 朱美はシャワーヘッドを手にして、その場にしゃがみ込んだ。無意識のうちに左膝を立てて、邦夫たちの視線から股間を守っている。
「ゆ、雄太くんも座って。おばさんが洗ってあげる」
「う、うん」
 朱美以上に緊張している雄太はイスが目に入らないらしく、直接床に尻をつけた。朱美もまた、イスをすすめる余裕がない。
「あ、雄太くん。このシャワー、どう使うの?」
「えっとね、オレンジのボタンを押してみて」
「こ、これね。ぬるめの方がいい?」
「う、うん」
 邦夫たちに一挙手一投足を監視されながら、朱美は努めて明るい口調を装った。実際は叫び出したいほど追い詰められていたが、哀れで惨めな現実から逃れるには演じ続けるしかない。
 そんな朱美のぎりぎりの気持ちを、邦夫は容赦なく言葉で打ちのめした。
「おい、立ってやれよ。それじゃあ、おっぱいもおまんこも見えねえぞ」
「え、あ……」
「言われたらすぐやる!」
「は、はい!」
 朱美は飛び上がった。反射的に立ったものの、裸になった羞恥心で膝が折れそうになる。だが、ここで踏ん張らなければ家族に明日はないのだ。朱美は強ばる顔を精一杯の笑みでごまかし、雄太の手を取った。
「ね、雄太くんも立って」
「う、うん」
 雄太の肩にシャワーを当てる。
「熱くない?」
「う、うん」
 朱美の白い指先が肩から首筋へ、首筋から背中へ滑ると、それだけで雄太は達してしまいそうになった。しかも、目の前では朱美の乳房が揺れている。追い打ちをかけるように、汗ばんだ女臭はこの上なく香しい。
 視覚は触覚を過敏にし、それに嗅覚が加わることで雄太の神経は際限なく昂ぶっていた。そしてついに、朱美の指に腰の裏側をさすられた瞬間、背筋に痛痒が走り、膝が砕けてしまった。
「わ、わっ、うわっ、うわあっ!」
「え? あっ!」
 ずん! サッシ窓が震えた。
「ど、どうした、雄太!」
「……え?」
 雄太の目は点になっている。気がつけば尻餅をついており、反り返った男根はひくひく痙攣して、尿道口から精液が流れ出ていたのだ。
「だ、大丈夫? 立てる?」
「え? あ……」
 見れば、朱美の左の乳房から臍にかけて白い精液が付着していた。どうやら、背筋に泡を塗られただけで達してしまったらしい。
「わはは! 雄太、せっかくだからちんぽを洗ってもらえよ」
「でもよ、直接触られたらあれだ、今度は失神しちまうんじゃねえか?」
「そりゃそうだ。じゃあ、シャワーだけにしてもらえ。なあ、雄太」
 悪友たちに容赦はない。雄太は憮然と立ち上がった。
「だ、だれだって出ちゃうよ。とっても気持ちいいんだから……」
「え、そうか? そんなに?」
「ち、ちんぽにノータッチでもか?」
「そうだよ。とっても気持ちいいんだから」
 途端に邦夫たちは羨望の眼差しになった。気を良くした雄太は進んで仁王立ちになる。
「朱美さん、触ってもいいよ」
「あ、はい」
 射精直後にもかかわらず、男根はほとんど勢いを失っていない。そればかりか、亀頭部分が若干ふくらんだ印象さえある。
(す、すごい。若いからなのね……)
 中二といえば十三、四歳──。今年三十三歳の朱美より、実に二十歳も若いのだ。朱美は素直に驚嘆し、自身の体に目を落とした。乳房や腹部にこびりついた青い精液から、気化した臭気が立ちこめている。
(すごい臭い。粘り気も……)
 朱美は肌を蝕む精液をシャワーで洗い流した。次いで雄太の股間にもシャワーを向ける。湯を受けた男根がぴくんとしなり、その拍子に尿道に残留していた精液がくぷっとこぼれ落ちた。
(ああ、まだ出てくるの。中にたっぷりたまっているから……)
 果ててもなお脈動する男根と、尽きることのない精液──。
 朱美はこの光景を一度どこかで見たことがあった。既視感ではない。想い出の中の記憶だ。夏の日差し、蒸した空気、こもる吐息──。
(ああ、そうよ。あの日も暑かったわ。まるで今日みたいに……)
 十五年前の夏、セックスを覚えた高三の夏休みが脳裏を過った。相手はアルバイト先で知り合った大学生──夫の利之だ。
 あの夏は、セックスに明け暮れた毎日だった。性器が腫れ上がるのもおかまいなしに時間を作っては何度も抱き合い、多い日は二桁に達することもあった。それを可能にしたのは二十歳のペニスだ。そして、その男根を挑発したのは十八歳のヴァギナ──。
(もう十五年になるのね。この子たちがまだ生まれていない昔……)
「朱美さん……? あの、手を使っていいんだけど」
「……え? あ、はい」
 目の前に雄太の男根があった。鋼のような勃起はあの夏の再来だ。
(す、すごい……。さ、触っても大丈夫かしら?)
 朱美はシャワーを当てながら、恐るおそる左手を伸ばした。指先が男根にかすっただけで、雄太の背筋が大きくしなる。
「あ、ごめんなさい。痛かった?」
「い、痛くないよ。続けて」
 そうは言っても、雄太は爆発寸前の体なのだ。困った朱美は手の中にお湯をためるようにして、腫れ上がった男根をすすぎ始めた。
「ちょっと足開いて」
「う、うん」
 過度な刺激を与えないよう、陰嚢から肛門にかけてお湯をまぶしてゆく。依然、雄太は危険な状態だが、いまはくすぐったさを感じているらしく、小さな尻をむずむずさせている。
 むずむずしているのは外野の二人も同じだ。居ても立ってもいられないのか、浴槽から大きく身を乗り出し、なにかと茶々を入れてくる。
「よう、石鹸は使わないのか?」
「せっかくだから、ソープごっこをしろよ。毎晩、旦那にやってんだろ?」
「あ、いえ……」
「うそつけ。娘の目を盗んで台所とか風呂ではめっこしてんだろ?」
「し、してません!」
 朱美は唇を噛み、ラックからボディシャンプーを取り出した。両手に泡を立てながら、とにかく娘の体を洗う要領で接しようと考える。
「へえ、やっぱり、素手でやるんだ」
「え? あの……」
 邦夫がしきりに関心するので、朱美はスポンジを手にするタイミングを逸してしまった。邦夫と並んだ康二も、そして当の雄太も、これから起こることに目を輝かせている。
(わ、わかったわよ! やるわよ! やればいいんでしょ!)
 朱美は泣きたい気持ちで、まずは首筋から洗い始めた。最初はくすぐったそうに身をよじっていた雄太も、肩口、腕、腹部と洗い進むうちに、うっとりと表情をゆるめている。
「後ろを向いて。背中を洗うから」
 と、半ば惚けていた雄太が突如として邪悪な笑みを浮かべた。
「やだ」
「え?」
「このままでも手が届くよね」
「あ、でも……」
 朱美が青ざめた一方で、邦夫たちは拍手喝采の大騒ぎだ。
「いいぞ、雄太。今日のおまえ、冴えてるな」
「それ、泡踊りってやつ? おっぱいぐりぐりの?」
「えへへ、立ってやるから立ち泡踊りかな?」
(あ、あんたたち、調子に乗るのも……)
 悔しさで奥歯が鳴る。だが、朱美は一人娘の笑顔を励みにして、雄太の背中に両手を回した。自然と乳首同志がぶつかり、次いで乳房がとろけるようにひしゃげる。
「わっ、すごく柔らかい! 柔らかいよ、朱美さんのおっぱい!」
 そう叫ばずにはいられないほど、直に感じる朱美の温もりは鮮烈だった。それでも射精せずにいられたのは、朱美の陰毛がクッションになり、暴発寸前の男根を受け止めてくれたからだ。
「うわあ! すごい! なんか溶けてるみたい!」
「あー、はいはい。それはなによりだな」
「感激ついでに漏らすなよ」
 からかう邦夫たちだったが、その顔には羨望の色がありありと浮かんでいる。無理もない。朱美が雄太の背中を撫でる度に乳房がひしゃげ、つき立ての餅のように形を変えているのだ。おそらく、押し込まれた乳首は雄太の胸板の上をころころ転がっているのだろう。
(こ、これでよしと……)
 朱美はどうにか雄太の背中を洗い終えて体を離した。子供とはいえ夫以外の異性と肌を合わせたことを恥じて、ほんのり頬が上気している。
(よかった。今度は出さなかったみたいね)
 ひと息ついた朱美はその場に跪いた。それも束の間、雄太の股間を見やり、眉根を曇らせる。
(ここを洗い終えたら、わたし、子供に犯されるのね……)
 雄太の男根は怒ったように天を衝いていたが、陰嚢は緊張のためか梅干しのように縮こまり、そこだけは少年らしさを残している。朱美が手を差し伸べると、雄太は怯えたように腰を引いた。
「大丈夫、心配しないで。優しくしてあげるから……」
 大丈夫、大丈夫、と自分に言い聞かせ、そそり立った男根を両手で包み込んだ。見上げると、雄太は目と口を固く閉じ、まるで苦行僧のような面持ちで快楽に耐えていた。
(あらあら、やっぱり子供なのね……)
 朱美の中で小悪魔が微笑んだ。少年たちに対する憎悪をほんの少しだけ、指先に込めることにしたのだ。泣いても笑っても結局は犯されるのなら、笑ってしまえとの気持ちだった。
(ふふ、おしおきよ)
 朱美は乾いた唇をちろりと舐めてから、亀頭部分と肛門周辺へ指先を滑らせた。今度は遠慮しない。泡を塗り込めるふりをして、あからさまに愛撫を加える。人妻が繰り出す指技に童貞の少年が耐えられるはずもなく、雄太の下半身は断末魔の踊りを始めた。
「わ! わっ! わわっ!」
 悲鳴もろとも、雄太が二度目の精を放った。第一波は朱美の耳をかすめ、続く第二波が肩口を打つ。もっとも量の多い第三波は乳房を汚し、以後はぼたぼたと垂れて右腿を濡らしてゆく。
「なんだなんだ! またお漏らしか、雄太? 情けねえぞ!」
「わ、わ、わ、だってよ! わ、わ、わ!」
 悪友たちのからかいをものともせず、雄太は絶頂の余韻をたっぷり味わっている。そればかりか、嘲りの笑みを浮かべたのだった。
「じゃあ、邦夫くんたちもやってみなよ。何秒保つかな?」
「な、なんだと! よ、よし。康二、次行け!」
「え、おれ?」
「雄太に負けんなよ!」
 背中をばちんと叩かれて、康二はいやいや立ち上がった。
「お、おう」
 長躯の康二は男根が一番小さい。それでも仮性包茎の亀頭を剥き出しにして、勢いのあるところを見せつけている。
(よかった。すぐじゃないのね……)
 朱美も立ち上がり、泡だらけの雄太にシャワーをかけた。雄太の男根は半勃起状態を保ったままだ。その気になればいつでも挿入可能なのだ。
(ああ、満足しないのね。たった二回じゃ……)
 あの夏の日にも似た精液臭が朱美の鼻腔を突いた。右半身にかけられた新鮮な精液が体温で蒸発しているのだ。火照った女体は精液の気化をはやめ、気化した精液は女体を火照らせる──。おぞましい連鎖反応だ。
(ああ、だめよ……だめ。しっかりしなきゃ……)
 雄太と康二が場所を入れ代わった。康二は股間をかばうあまり、ひどい猫背になっている。それでも朱美を見下ろすほどの上背だ。
「ちょっと待っててね」
 朱美は右半身に残っている精液を洗い落そうとした。このままでは強烈な精液臭で立ちくらみがしそうなのだ。
「へへっ、おれもすぐぶっかけるからよ。そのままにしとけ」
「でも……」
「あんたをザーメンまみれにしてやるよ。次は左のおっぱいがいいか? それとも顔面か?」
 子供ゆえの残酷さに、朱美は唖然とした。一体、彼らの頭の中にはなにが詰まっているのだろうか? それこそ黄ばんだ精液でも詰まっているのだろうか?
「よう、どっちがいいんだ? 顔か? おっぱいか?」
「す、好きにしなさい」
「じゃあ、どこにぶっかけてもいいんだな?」
 康二は血走った目で朱美の裸身をねめ回した。浴槽の中からは邦夫と雄太が性獣の目で朱美を見上げている。粘着質な血走った目だ。
(ああ、そんな目でわたしを見ないで……。わたしは子供だっている、三十過ぎのおばさんなのよ……)
 むせ返るような精液臭と少年たちの血走った目が、朱美の表皮をちりちりと焙っていた。その熱はじわじわと体の深部に伝播し、朱美の肌をほんのり桜色に染めている。
(ああ、お願い。空気を入れ換えて。辛いわ……。変になりそう……)
 たまらず顔を伏せると、否応なく康二の男根が目に飛び込んでくる。見るからに幼い男根だが、尿道口に欲望の雫をためた様はいっぱしの男だった。
(そんなにセックスがしたいの? わたしの体が欲しいの?)
 朱美はそこが臭気の源泉であるかのように眉をひそめ、康二の股間にシャワーを向けた。水流の刺激で桃色の亀頭は一段とふくらみを増し、射精の準備が整ったことを暗に告げている。
「うー、シャワーもなかなか……。朱美、これも夜の営みテクニックなのか?」
「ち、違います!」
 二十も歳の離れた子供にからかわれて、朱美は耳たぶまでも赤く染めた。反面、そんな自分を愛おしくも感じる。すべては家族のためなのだ。朱美は甘美な自己犠牲に身をゆだねつつ、シャワーを操ってゆく。
 手順は先と同じだ。首筋から始まって肩口、両腕、腹部を洗い、抱き合う形の背中洗いに入る。だが、童貞の少年たちにとっては、手洗でさえめくるめく愛撫なのだ。康二もまた、「背中洗い」を待たずして痙攣を始めてしまった。
「わ、わ、わ、わたっ!」
 少量ながらも勢いのある精液は、朱美の上腕をかすめて顎を襲った。
「きゃ! やだ!」
 精液が首筋を伝う気色悪さに全身が総毛立つ。いや、そうではない。鮮烈な栗の香に鼻腔を焼かれて、熟した女体は震えおののいたのだ。
(ああ、すごい臭い……。これが男の子の臭いなのね。目眩いがしそう……)
「なんだよ、康二、みっともねえな。雄太よりはやいんじゃねえか?」
「し、仕方ないだろ……。こんな美人に体を洗われてんだぜ。裸を見てるだけで勃起もんだってのによ」
 康二はそう抗弁しながらも、雄太と目が合うと済まなさそうな顔になった。
「へへっ、おまえの言う通りだったよ。すごく気持ちいいよな、指タッチ」
「でしょ? だっこされたらまた出ちゃうよ」
「そ、そうか。よし、こうなったら何発でも出してやるぞ」
(じょ、冗談じゃないわ。もう十分よ……)
 朱美は精液臭に耐えながら男根をシャワーで清め、だっこ洗いのための泡を作り直した。だが、康二の男根はしぼむどころか、肉色のネクタイが千切れそうなほどぱんぱんにふくらんでいる。
(お願い……少し我慢してね)
 朱美はそう願いながら立ち上がり、腫れ物を扱うように康二と体を重ねた。朱美の乳首が康二のみぞおちに触れる。康二の亀頭は朱美の臍を突っついた。
「ひゅっ!」
 康二が息を吸い込んだ。円くひしゃげた乳房、男根を包み込む柔らかな下腹、しっとり張った太腿が一斉に押しつけられたのだからたまらない。気がつけば、腰が勝手に痙攣を始めている。
「あっ、あっ! だ、だ、だあっ!」
 二度目の射精は舌がもつれるほどの快感だった。噴出した精液は一度目より勢いがあり、量も多く、重なった二人の間を蛇のように駆け上がってきた。
「やっ! いやあっ!」
 あまりのおぞましさに、康二を突き放そうとする。だが、感極まった康二は万力のようにしがみついて、離れようとしない。勢い朱美の下腹にめり込んだ男根がびくびく脈動し、その振動は子宮にまで達するほどだ。
「いやっ! は、離して!」
 朱美が暴れれば暴れるほど下腹の柔肉が男根に絡みつき、残留している精液がにちゃにちゃ音を立てた。
「あ! あ! きたきた! またきたああっ!」
 思いかけぬ擬似セックスは快楽を通り越した痛痒だった。康二の腰は壊れたように打ち震え、仮の子宮と化した朱美の下腹に新鮮な精液を供給し続ける。
「いやああっ!」
「くうーっ!」
 三度目の射精を存分に味わった後、康二はほつれるように朱美の体から離れ、床にへたり込んだ。あまりの気持ちよさに腰が抜けてしまったのだ。見物の二人は熱気に当てられて、野次を飛ばす余裕もない。
 唯一、朱美だけが青ざめた顔で震えていた。男根の熱さも生々しい下腹から精液がどろりと流れ落ち、股間に届こうとしていたのだ。それは陰毛にたまりながら、じりじりと垂れてくる。
(や、やだ! こないで!)
 朱美がシャワーヘッドに手を伸ばしたとき、邦夫が怒鳴った。
「だめだ! そのままでいろ!」
「お、お願い! 洗わせて!」
「だめだ! ザーメンにまみれてろ!」
 邦夫の怒号が朱美の身をすくませる。そこへ立ち上がった康二が股間を突き出してきた。立て続けに三度射精したことがうそのようにその男根は天を突いている。
「へへっ、背中はもういいぞ。これ以上出したら、ちんぽ保ちそうにないしな……」
「お、お願い……」
「どうした? 続けろよ。まだ途中だろ」
「……は、はい」
 朱美はシャワーヘッドを握り締めた。邦夫たちの粘っこい視線を感じながら、重たげな尻を落とす。
(熱いわ、あそこが……濡れてるわね、きっと……。この臭いのせいよ。頭がくらくらするもの……)
 眉間に苦悶の皺を寄せ、左脚を立てる。
(いいわ、見なさい。でも勘違いしないで。濡れているのはこの臭いのせいなんだから……)
「へへっ、ほらよ」
 右腿に足を乗せられて、朱美は我に返った。慌てて顔を上げると、男根越しに康二が笑っていた。
(まるで王様ね……)
 朱美は足先を洗い始めた。指の間にたまった垢も丁寧に落とし、下肢全体を両手で泡立てる。てのひらにためたお湯で股間を洗うのは先に覚えた通りだ。
 康二の全身をシャワーですすぎ終えたころには、朱美の全身も汗でびしょ濡れになっていた。意外に重労働だったこともあるが、換気扇が回っていない浴室内は蒸風呂状態だったのだ。
 加えて密室に充満した少年たちの汗と精液の臭いが、朱美の恥肉を疼かせてやまない。少年たちもまた、むせ返るような人妻の体臭を胸一杯に吸い込み、目をとろんとさせている。
 無論、精液臭の方がはるかに強烈だったが、人妻に自分たちの精液を浴びせ、その臭いを嗅がせるという行為に陶酔していたのだった。

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